日本のデフレ退治:長年の問題 JBpress(日本ビジネスプレス)
『デフレの正体』の著者である藻谷浩介氏の頭はこうした疑問でいっぱいだった。この本は刊行後7カ月間で販売部数が50万部を突破した。読者の1人は菅直人首相だ。藻谷氏は、日本のデフレは金融の問題というよりは、むしろ企業の誤った意思決定と人口動態に関係した構造的な問題である側面が大きいと主張している。
もし日本企業が新しいタイプの高級品を開発すれば、増加している裕福な高齢者層の潜在需要を解き放ち、減少傾向にあり比較的貧しい若年層に賃金をもっと支払うことができると藻谷氏は考えている。当然ながら同氏の意見は、物価下落を反転させるのに十分な対策を講じていないとよく非難される日銀で共感を呼んでいる。
日銀の白川方明総裁は2月7日の記者会見で、同じようなテーマに触れた。デフレの根源的な原因は、労働者数の減少と生産性上昇率の低下が原因で引き起こされた日本の国内総生産(GDP)成長率の趨勢的な低下傾向だと述べ、金融緩和はデフレ圧力を和らげるうえで重要だったが、それだけでは十分ではないと言い切った。
生産年齢人口の減少に対応し、企業は高齢者や女性の労働参加率を上げることが求められる。また、研ぎ澄まされた「もの作り」の概念を超え、「仕掛け作り」に取り組む必要もあるという。白川氏の説明によれば、これはかつてソニーが「ウォークマン」でやったように、新しいストーリーを描くことによって需要を引きつける製品の開発だ。
確かに景気浮揚のための努力や「賭け」が足りない。が、それは景気浮揚であってデフレ撲滅ではないだろう。
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